医療現場で感染症を周囲に拡散させてしまうのは患者よりも看護師の割合が多いとされています。看護師は仕事の性質上、不特定多数の患者やその親族と接する機会があるためです。本来ならこまめに消毒を行うことで感染症の患者に接しても自身が媒介者になることはほとんどありませんが、人手不足な病院が多く、看護師は非常に多忙な状況に置かれています。そのため、衛生管理が疎かになってしまい、結果として感染症の媒介者になってしまうのです。
また、オーバーワークの状態に陥っている看護師は疲労やストレスで体力が低下し、感染症に罹患するリスクが増大しているのも無視できない問題と言えるでしょう。
看護師が感染症の媒介者になってしまうのを防ぐには衛生管理の徹底が必要です。手洗いやうがいはもちろん、着衣の消毒も必須。しかし、多忙な医療現場で患者と接するごとにそのような処置を施すのは現実的とは言えません。限られた時間の中で効率的な衛生管理を行うには同じ感染症の患者ごとにまとめて接する、手袋を使用して患者には直接触れないなどの工夫が必要になります。
看護師の健康面については勤務シフトを調整し、できるだけ休息を取るように注意するのが良い方法です。人手不足の病院では難しい取り組みですが、看護師が感染症の媒介者になってしまう事態は避けなければいけません。
人員を増やして一人当たりの仕事量を減らすのが最善の方法ですが、医療スタッフを雇用する病院の経営陣が問題の重要性を理解しなければ改善は難しいと言えるでしょう。